寮歌・出版案内

校歌、寮歌、山都逍遙歌、学生歌、わが青春の椹野川【音声付】

山口高等商業学校校歌

土井 晩翠作詞/山田 耕筰作曲

(昭和5年5月18日)

一、

仰ぐは鳳翩 臨むは椹野

基を文化の 遠きにおきて

時世の進みに 伴ひ来る

山口高等商業学校

二、

維新の風雲 うづまきたてる

防長二州の 名におふ此の地

ふさはし青年 その身を鍛ひ

その技磨きて 心を練るに

三、

普く福利を 四海に分つ

理想の実現 新の光

商才士魂の 標語によりて

健児の胸こそ 高くもゆらげ

四、

春秋三たびの 功を積みて

業成るあしたの 望に奮ふ

金甌闕けざる あゝわが祖国

富まさんわが任 あゝわが誉

鳳陽寮寮歌

佐々 政一作歌

(明治32年9月30日)

一、

花なき山の 山かげの

月も宿さぬ 川の辺の

はせに立ちたる 学び舎に

起き臥す友よ いざつどへ

二、

都をのこの 思ふどち

折りかざすてふ 山ざくら

浮世のさがの 色見えて

風にもあへぬ 心かな

三、

酔ひしれ果てて 中河の

月に浮かるる ざれ歌は

さもあらばあれ いざやいざ

益荒丈夫の うたげせん

四、

鳳翩の峰 低くとも

椹野の流れ 細くとも

とこしなへなる 山川は

わが友垣の 姿なれ

山都逍遙歌

橋川 敏男作詞・作曲

(昭和十九年 第四十期)

一、

春を弔う落英の

朧ろに流る椹野川

追昔の影長くして

逍遙の児の胸如何に

二、

逝きて帰らぬ人の世の

流れの傍に佇めば

そぞろに浮ぶ幻は

去りし栄華の夢の跡

三、

友よ知らずや昏冥の

嵐の中に身を殉じ

黎明の鐘乱打せし

若き命の揺籃ぞ

四、

樹間にこもる紫の

薄明に澄む物思い

消えゆく鐘に目覚むれば

弦月白し鴻の峰

五、

山都に霞む夕時雨

去りし山路さまよえば

寂びて鬱たる老杉に

降り残したる古寺の塔

六、

すさびの文をたずさえて

巷を出ずる高原の

悲風粛たる叢林に

武士共どもが夢のあと

七、

顧みるべしわが友よ

あの山河に彼の森に

若き瞳の先覚が

憂い歌いし悲歌慨歌

八、

仰ぐ遙けきさみどりの

秀峰兀たる鳳翩に

何を孕むか油然と

湧く白雲の昼の夢

九、

ああ渺々の蒼冥に

悠々流る白雲よ

悠遠臨む吾が胸の

たぎる希望を託さなむ

十、

集え同胞靉靆の

霞たなびく吾が園に

いざや語らん霜嶺に

咲ける理想の白芙蓉

山口大学学生歌

永井 正春作詞

藤井 哲雄作曲

一、

連なる周防の山高く

いま暁の雲を呼ぶ

希望は高く溌らつと

若き吾らのかいな組む

世代の覇者の歌声は

世紀の空に高らかに

ああ山大 山大 山大!

二、

みなぎる意気と感激に

いまれいめいの朝明けぬ

ゆるがぬ平和めざしつつ

若き力のかいな組む

時代の覇者とつどいたる

吾らの誇り高らかに

ああ山大 山大 山大!

三、

若き正義は脈打ちて

いま暁の空を呼ぶ

時代の歴史かざるため

若き命のかいな組む

ここ周防のひとすみに

輝くほまれ高らかに

ああ山大 山大 山大!

我が青春の椹野川

山根 和明・藤本 信一作詞

山根 和明作曲/山本 寛之編曲

椹野川の緑の岸辺

春の訪れ告げる花を

愛する人の髪に飾った

若い日よ

遙かに望む鳳翩も

紺碧空に照り映えて

若い二人を見守るように

輝いていた

夏の河原に葦燃えて

せせらぎに水鳥は遊ぶ

遠き峰より流れ来る

水恋し

月日は無常に過ぎて行き

ああ青春の感傷も

強き日ざしにいつのまにか

色あせて

いつの時代も変わらずに

椹野川とうとうと

人の喜び悲しみも

流れゆく

いつかどこかで逢ったなら

時を忘れて茫然と

ただ君を 君の瞳を

見つめていたい